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お客様ストーリー ありがとうございました

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初年度からのヒュッテの常連さんでいらっしゃるSさんから、新田次郎「霧の子孫たち」の単行本を頂きました。
霧ヶ峰にビーナスラインが建設されるときの反対運動を描いた小説。
この場所には欠かせない本の一つ。ありがとうございます。

お宿をやっていると、いろんな人がきていろんな世界を見せてくれる。
それぞれ、仕事も経験も、性格も関心もみなちがっているから
少しお話しすると自分の知らない世界が見えてくる。

例えば・・・
「霧の子孫たち」を頂いたSさんは地理学の専門家。
いつも蓼科山から麦草峠周辺で、風穴と永久凍土の調査をして霧ヶ峰へやってくる。
風穴を探してあちこちと歩き回り、かつて使われた歴史なども絡めてのお話にはロマンがある。

例えば・・・昨年から何回かきていただいた美容師のSさん。
僕と同じO型で面倒くさいことは苦手。でも美容師だから自分のお店をきれいにするために細かい仕事もたくさんある。習慣になるまでとにかくやり続けるという話は宿においても同じ・・・。
自分に怠惰の兆候が見えると、Sさんの言葉を思い出して気持ちを入れ直す。

例えば・・・花屋に転職したばかりのKさん
勤務が始まれば忙しくなるからと秋に2回も来てくれた。
Kさんはミヒャエルエンデが好きでドイツ文学を学んだ。
オススメしてくれた、梨木香歩さんの「家守綺譚」は面白かった。
歳が近いせいか、文学話は新鮮で、くすぐったく、楽しい・・・。

またそう少なくない人たちが、昔から霧ヶ峰が好きというお客様・・・。
昔のヒュッテみさやまの話とか、移り変わりや思い出を話してくれる。

また、ある人はさっと来て珈琲だけ注文して、ほとんど言葉を交わさずに帰っていく。
お名前も知らない、お住まいも知らない。それでも、何度も何度も来てくれる。
何回目だろうか、あるとき館内が使えず、「じゃあ、たまには外で」と仰った言葉がすごく温かかった。

ヒュッテでは必ずしもたくさんの会話は必要ない。
この場所の空気と時間が人と人を近づけてくれる。
こうして得たことを、今後に活かしていきたいと思いつつ。

今年は明後日で営業を終了します。
来ていただいた皆様、本当にありがとうございました・・・。
by yumitsui | 2011-10-30 00:34 | 日々の出来事

信州霧ヶ峰高原のお宿 ヒュッテみさやまの日々を綴るブログです。初めての方はカテゴリーのご挨拶をお読みいただければ幸いです。


by yumitsui